2016/04/22

浜田省吾#15 ライブアレンジ

浜田さんのコンサートで演奏する曲は、必ずしも全曲レコードと同じアレンジで演奏していたわけではありません。
今回はライブアレンジのお話です。

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80年〜83年頃の浜田省吾のツアーで演奏する曲目は、毎ツアーごとに結構違っていた。
ニューアルバムが発売された時のツアーは、当然アルバムからの曲が多くなり、アルバムが出ない時のツアーはまた違った選曲になったりした。
アレンジに関してもレコードと全く同じようにやる曲もあれば、ガラリとアレンジを変えてやる曲もあった。

ぼくがバンドに加入した頃は、スタジオでみんなで音を出しながらヘッドアレンジのような形でアレンジを考えていたのだが、次第にバンドの誰かが骨子となる譜面を書いて来て、それを元にみんなで煮詰めて行く方法に変わっていった。

初期の重要なライブレパートリーだった『今夜はごきげん』とか、『ハイスクール・ロックンロール』のような曲のライブアレンジは、バンドのメンバーみんなで考えながら作ったものだが、バラードの曲やキーボードがメインとなる曲、レコードではフェイドアウトしている部分のエンディング等は、担当している楽器の特性上もあってか、いつの間にかぼくがアレンジするようになっていった。

80〜83年頃にコンサートでよくやっていた曲の中で、ぼくがライブアレンジを手がけた主な曲は、『ラストダンス』『ミッドナイト・ブルートレイン』『愛のかけひき』『とらわれの貧しい心で』『愛の世代の前に』『On The Road』『凱旋門』等々。

『ラストダンス』はぼくが骨子の部分を考えて、バンドメンバーでサウンドを膨らませていった曲。
特に間奏部分の後半から高揚していくコード進行の部分などは、今聴いてもとても気に入っている。

『ミッドナイト・ブルートレイン』は、よりピアノな感じを強調したくて、あのような雰囲気になった。

『愛のかけひき』はレコードのアレンジの雰囲気を残しつつも、もっとビートを強調したアレンジに変えた。ライブでは間奏の部分を途中からエレキギター二本のツインリードにして、レコードよりも間奏が長くなっている。

『とらわれの貧しい心で』は、いわゆる当時のウエストコーストサウンド。ジャクソン・ブラウンとかイーグルスとかの感じをすごく意識してアレンジした。

『愛の世代の前に』はエンディングの部分を作った。当時流行っていたTOTOとかエアプレイとかの雰囲気。ぼくが考えたものを基に、ベースの江澤くんにアシストしてもらった。

『On The Road』もエンディングの部分を。これもTOTOとかの雰囲気。四拍子と三拍子が交錯する変拍子を取り入れた、いわゆる八分の七拍子のリズムを入れたアレンジにした。

『凱旋門』は全体的にキーボードの音色をたくさん使うアレンジにしたので、当時のコンサートではぼくと一戸くんだけでは手が足りず、ギターの町支さんにもキーボードを弾いてもらった。

他にも何曲もライブ用にアレンジしたが、中には浜田さんのイメージしている感じと違って没になったアレンジも何曲かあった。

ライブアレンジを手がけていたのはぼくだけというわけではなく、ギターがメインの曲は町支さん、リズムがメインとなる曲は江澤くん、というようにサウンドによって分担していた。勿論浜田さんも含めたバンド全員で考えた曲もたくさんある。
『演奏旅行』は全員でアレンジを考えた曲で、レコーディングもFuseのメンバーで行った。

そして中でも思い出深いのが、レコードになる前からバンドメンバーでアレンジして、ステージで演奏していた『僕と彼女と週末に』。

これはぼくが大まかに書いて行った譜面を基に、メンバー全員でスタジオでディスカッションしながら作ったアレンジとサウンドで、後にアルバム『プロミスト・ランド』に収録された水谷公生さんがアレンジしたバージョンとは、かなり違う雰囲気のサウンドだった。

82年〜83年頃の浜田省吾のコンサートを観戦した方の中には、もしかしたらこのアレンジ違いバージョンの『僕と彼女と週末に』を覚えているという奇特な方もいらっしゃるかもしれない。

他にもライブならではのドラマティックなアレンジを施した曲は『陽のあたる場所』とか『独立記念日』とか。
『陽のあたる場所』は途中で浜田さんの語りが入る構成になったため、ピアノとベース、シンセで語りの部分を引き立てるようなアレンジにした。
語りのラストの部分から次第にピアノが高揚して行き、全員のキメになだれ込んで行く箇所などは今聴いてもとてもゾクゾクするし、とても良く出来ていると思う。

84年以降はレコーディングでも次第にバンドメンバーがアレンジを担当するようになって、ライブアレンジに関してもそれまでのようなやり方とは違っていった。
ライブアレンジというようは、サウンドプロデューサー的な立場の役割を担う者が必要になって来て、ぼくが任命されたツアーの時もあった。

そんな話はまたいずれ。

ぼくがライブ用にアレンジした「とらわれの貧しい心で」の譜面。

ボツになった「悲しみ深すぎて」のアレンジ。