2016/04/21

浜田省吾#14 ツアトラ真っ二つ事件

1982年の秋のツアーでの出来事です。

++++++++++++++++++++++++++++++++

82年の9月21日から始まった浜田省吾秋のツアーは、21日岡山市民会館、22日津山市民会館、23日広島郵便貯金会館と順調なスタートを切り、25日は三次市文化会館でのコンサートを控えていた。24日は完全オフ日で、ぼく達は広島に滞在してつかの間のオフを楽しんでいた。

その日はぼくも友人宅にお邪魔して家庭料理を御馳走になりながら、テレビで野球中継など観戦していた時であった。
どこでどう調べたのか、その友人宅の電話が鳴った。電話の主はマネージャーのAさん。
「板さん、休みのところ申し訳ないんだけど、ツアートラックが事故に遭って大変なことになっている。至急ホテルに戻ってくれないか。」Aさんが受話器の向こうから早口で捲し立てて来た。
「分かりました。すぐに戻ります。」

ホテルに戻ると、すでにメンバー全員が揃っていた。
この時点で分かっていたことは、次の公演地である広島県三次市に向かって走行中の楽器を載んだトラックが、センターラインをはみ出して来た対向車を避けようとして横転し、道路脇の田んぼに突っ込んでしまい、楽器を積んだコンテナの部分が真っ二つに折れて、身動きが取れなくなってしまったという事だった。
幸いにもドライバーと同乗者はかすり傷で済んだらしい。しかし楽器が無事かどうかはこの時点ではまだ分からなかった。

そこで急遽、浜田省吾さんを含めたぼく達バンドのメンバーは、大事をとってこの日のうちに三次に移動することとなった。
イベンターがチャーターしたワゴン車に乗り込み、ぼく達は降りしきる雨の中、深夜に三次に到着したのだが生憎どこもホテルが満室とのこと。
そこで苦肉の策で、我々は街道沿いのちょっと怪しげなホテルに宿泊することとなった。

次の日、風は強かったが天気も回復して、ぼく達は早めに会館入りをした。
先に会館入りしていたスタッフの情報によると、折れたコンテナからぼく達の楽器のいくつかは救出出来てはいたものの、まだすべては回収出来ていないとのこと。
そこで急遽ぼく達は地元のアマチュアバンド所有の楽器を調達してもらい、足りない楽器を借りてライブをやるという、前代未聞の事態となった。

それでも何とか借りた楽器を使用してのコンサートは、アクシデントを物ともしない、逆にとても熱いステージとなった

幸いにも田んぼに突っ込んだトラックに積んであった楽器に、ダメージは殆ど無かった。
しかし後日判明したのだが、ぼくの所有するカワイのエレクトリック・グランドピアノのフレームが歪んでしまっていて、修理をしなければ直らないとのことだった。
ショックだったのは、このエレクトリック・グランドピアノは、今回のツアーに出る前に購入したばかりのピカピカの新品で、購入して約10日ほどで事故に遭うことになってしまったことだった。

でも幸いというか虫が知らせた言うか、普段は楽器に保険など掛けた事の無いぼくが、今回はエレクトリック・グランドピアノを購入した際に、何故かわざわざ赤坂の保険代理店まで出向いて保険に加入した。そのおかげで無事保険金が下り、修理代金を保険で賄う事が出来た。

その後、東京から代わりのトラックが到着して、我々はツアーを続けることが出来た。

買ったばかりで事故に遭ってしまったKAWAI KP-308。独特の音色が好きだった。


81〜82年頃のツアーで使用していたギター&ベース。
左からB.C.リッチ・モッキンバード、オベーション・アダマス6弦、フェンダー・ジャズベース、B.C.リッチ・イーグル、オベーション・アダマス12弦、フェンダー・ストラトキャスター、フェンダー・テレキャスターカスタム、フェンダー・プレシジョンベース。